狩リノ・時間ダ
2021/03/26
2021/03/13
2077 星
※「サイバーパンク2077」のエンディングに関するネタバレを含みます
「星」、到達。
Vがママ・ウェルズに叱られる貴重なエンディング――!
……ではなく、アルデカルドスと共にナイトシティを脱出するエンディングですね。
何と言えばいいのか分かりませんが……すごくすき。
ジョニーとローグの件があって偶然とはいえ、最後にとっておいた意味はあったように思います。
アルデカルドスの皆の力を借りるとはいえ、結局のところ目指す場所は<神輿>。
つまり、アラサカ・タワーが最終決戦の場であることに変わりはありません。
やはりローグと同じように空からの奇襲か……と思っていたのですが、これが大違い。
ザックリ言えば、まずはトンネルの工事現場を襲撃してシールドマシンを強奪。
そしてアラサカ・タワーの地下まで掘り進んで<神輿>に向かう、というもの凄い力押しです。
アラサカに挑んでくれるのはありがたいものの、スマートさの「ス」の字もありません。
……こちとら荒野に生きるノーマッドだもんな!
トンネルへの襲撃はいわば、アルデカルドスとミリテクの正面衝突。
とはいえ、こちらにはバシリスクという切り札があります。
装甲車――いや、戦車相手にドローンや歩行兵器ごときで対処できるかなァ!?
まあ、この短時間で度々トラブルを起こしており、信頼性はドローンや歩行兵器以下なのですが。
ともあれ、少なくない犠牲を払いながらもトンネルへ突入。
ポンコツシールドマシンを叩き起こし、アラサカ・タワーの地下へ。
制震ダンパーがキッチリ備えられているあたり、やはり日本の企業ですね……。
地下からの侵入、ということでアラサカ・タワー内のルートは短め。
アダム・スマッシャーに遠慮なく別れの一撃をくれてやり、ボロボロの身体で<神輿>へ。
<神輿>でのやり取りは「太陽」での立場をジョニーと交換したような感じ。
ただ、プレイヤーがVとしてVとジョニーの結末を決められるのは良いですね。
「太陽」ではそれだけが引っ掛かりというか、心残りでしたから。
ジョニーが優しいのは相変わらずで、最後には「お前は戦い続けろ」とメッセージさえくれます。
じゃあね、相棒。
お似合いの元カノ――今カノ?―― と仲良くね。
そして時は流れ、パナムを含むファミリーの皆とナイトシティを去ることに。
Vの余命が6ヶ月程度であることは変わらないものの、パナムにはツテがあるのだとか。
2人で集合地点へ向かうワケですが――ここでニュース。
アラサカ・タワー襲撃の犠牲者にハナコ・アラサカが含まれていた、とのこと。
「そんなことやってませんけど!?」……と言いたいところですが、個人的には朗報。
<神輿>はオルトの手によって破壊された。
<Relic>は無力化。
サブロウ・アラサカの手駒であるハナコ・アラサカは死亡。
「星」はヨリノブ・アラサカ勝利ルートです。
「悪魔」を見てきた身としては、この一報が嬉しくて嬉しくて。
ここからアラサカを頂点とした世界は混沌を迎えるでしょうが、それは覚悟の上、でしょう。
とんでもない冤罪をフッ掛けられた気がするものの、それはお代として受け取っておきます。
ナイトシティからは出ていきますし、おそらくアラサカの追手もそう厳しくはないかな、と。
そもそもエンディング時点では誰の犯行か分かっていないハズ。
……しかし、「悪魔」を見ていなかったらこの展開はどう見えたでしょうか。
単に「裏切り者を始末した」としか見えず、少なくとも「嬉しい」とは思わなかったでしょうね。
ヨリノブを応援したくなるとは思いもしなかった……。
集合地点にはファミリーの皆と――リバー。
やはりと言うべきか、彼はナイトシティに残るようで……。
「お前には家族がいて俺にも家族がいる」……つまり、同じ家族にはなれない、と。
妹や甥や姪のことはV以上に大事なのでしょう。
リバーを見送り、ファミリーの元へ戻って、いざ出発。
ここで驚いたのはアラサカ・タワー侵入時に盗んできたらしいテック。
曰く、「空母が作れる」ほどの価格だとか。
……火事場泥棒が過ぎるのでは?
でも、まあ、こちとら荒野に生きるノーマッドだもんな!(開き直り)
最後は砂嵐に隠れながらトンネルを潜り、州境を越えてナイトシティとお別れ。
行き先は新たなはじまり、そして迎えるは満天の星々――。
夢を追ってナイトシティを訪れたノーマッドが、全てを奪われてノーマッドとして荒野へ帰る。
そう書くと散々ですが、バッカーを抜けた一匹狼が、こうしてアルデカルドスにいるワケです。
つまり、「ファミリー」というノーマッドにとって大切な、得難いものを得た。
それだけでも十分、戦いの日々に意味はあったというもの。
「余命」という問題こそあるものの、こちらも――前向きに考えれば――何とかなる気がします。
オルトには見放されましたが、彼女はAIであり、物理的干渉は不可能。
全ての手を尽くすことができる人間とはまた事情が違うかなと。
それにこの楽観論も無根拠ではなく、ヴィクターの薬がある程度効いているんですよね。
だとすれば、腕の良いリパードクであれば対処できるように思えるのです。
……いや、ヴィクターの腕を疑っているワケではなく!
ナイトシティで一番のリパードク、ヴィク、ありがとう! 貰った薬はちゃんと効いてるよ!
スタッフロール中の皆のメッセージは前向き(ママ・ウェルズの方を向かないようにしながら)。
特にヴィクターが凄くご満悦で本当に、心底、良かったな……と。
V自身が決めて、V自身が片付けたこの結末は彼の望むものだったのでしょう。
どうもジョニーのことは嫌っていたようですから。
リバーは写真がようやく届いた、という報告と応援のメッセージ。
愚痴がどうこう言っていたので、もしかして、付いてきても問題なかった可能性が……?
最後にミスティからは「自由に生きて」と。
<Relic>に縛られていたVにとっては「自由」こそが一番の報酬でしょう。
プレイヤーの手を離れた存在である「V」の自由は、私としても願っています。
これでザックリと全てのエンディングを見たワケですが、この「星」が一番好きですね。
ジョニーの物語が放置されているものの、Vの物語としては一番キレイです。
何よりライフパスがノーマッドですから。
「ナイトシティのV」の延長であり、ジョニーの物語にケリをつける一方で謎が残る「太陽」。
<神輿>こそ破壊されたものの、ジョニーは残り火のような「節制」。
アラサカに……というより、サブロウ・アラサカに加担する「悪魔」。
ナイトシティは何も変わらない「自殺」。
こうして並べてみても、やはり「星」が一番かな、と。
次点を選ぶのならば「V」らしく、「サイバーパンク2077」らしい「太陽」でしょうか。
「星」は結局、レジェンドとして名を残すという夢は捨てているんですよね……。
さて、これで「サイバーパンク2077」も一段落。
とはいえ、やり残したことはまだまだあります。
2021/03/12
2077 悪魔
※「サイバーパンク2077」のエンディングに関するネタバレを含みます
1周目、最後に迎えるエンディングは「星」と決めていました。
つまり、今回は残った二つのうちの一つ――「悪魔」。
最初はこの「悪魔」、スルーしてしまうつもりでした。
何せ「索敵と殲滅」でやらかしているのです。
だとすれば、見る必要もなかろう、と。
しかし、よく考えれば2周目で「やらかしている「悪魔」は見られない」ということに気付きまして。
良い話にはならないことを直感しつつ、ハナコの賭けに乗ることに。
話の結末はともかく、この選択はジョニーを裏切ることになるんですよね……。
正直、それが一番嫌な部分でした。
……アラサカに丁重に扱われるのも何だか変な感じですね。
ハナコの作戦自体はほぼ「夜想曲第15番 OP.55-1」で説明されたとおり。
アラサカ・タワーまでついて行って、役員会議でヨリノブの蛮行を証言する。
それによってヨリノブを排除、代わりにVを<神輿>まで連れて行く、と。
――役員会議に「サブロウ・アラサカの意識」という、とんでもない爆弾を持ち込むことを除いて。
そう、サブロウ・アラサカは自分の不測の事態に備えて、自分の意識を保存してあったのです。
そんなSFみたいな展開、いいの!?
いや、「サイバーパンク」だからSFか!?
「証言が必要なくなるのでは?」と一瞬思ったものの、これはあくまでバックアップなのでしょう。
バックアップ時点の記憶と、それ以降のバックアップとしての記憶をもった、サブロウ・アラサカ。
つまり、バックアップ後、紺碧プラザ内で起きたことの記憶はもたない。
「ヨリノブがサブロウを殺害した」というVの証言は必要になるハズです……おそらく。
妙な表現になりますが、殺されたサブロウ本人は既に死亡済み。
バックアップとしてのサブロウがサブロウとして話しているのでしょう。
それが本当にサブロウ本人と言えるかどうかは……難しい話になりますね。
同一性だとか、「スワンプマン」だとか、そういう方向の。
ヨリノブを役員会議で弾劾して終了! ……ならば話は早いのですが、実際はそうもいかず。
ヨリノブは不在。
とはいえ、「サブロウがいる」ワケですから、役員会議としてはその意志に従うしかありません。
サブロウはハナコに任せ、ハナコの言うとおりに事が進む――と思いきや、ヨリノブ派の襲撃!
やっぱりそうなるか!
ヨリノブ派を蹴散らしてヨリノブの元まで辿り着くと、彼の本当の目的を語ってくれます。
彼は彼なりに、サブロウを止めようと画策していたワケですね。
<Relic>もその要素の一つだったものの、各所に目をつけられ、Vたちに盗まれ……。
……不憫だな、ヨリノブ。
その後は約束どおりに<神輿>へ。
ジョニーと別れの挨拶、ということになるのですが……これがとにかくキツい!
ちゃんと約束は果たしただけに、アラサカに多少の恩義を感じているV。
心の底からアラサカを憎んでいるジョニー。
いっそ蔑んでくれれば気も楽になるのですが、罵りつつも説教に入るのがジョニー。
こういうジョニーには手厳しさよりも優しさを感じてしまいますね。
しかし、最後に彼が見せた感情は「失望」でした。
ジョニーらしく、せめて「怒り」であってほしかった……。
<神輿>からの生還、つまり<Relic>摘出後はひたすら続くリハビリに。
脳をやられているのでホラー調の演出も多々ありますが、正直、リハビリ自体がホラー。
ただ同じ調子で同じことを続けられて、それがいつまで続くのか……?
短縮されたプレイヤー視点ですら長く感じたので、V視点だと一体どれだけ……。
ブチ切れる選択肢もあったものの、私は黙々と続けていましたよ、ええ。
そんなリハビリ続きの毎日の中、テレビではサブロウ・アラサカの復活が報道されていました。
喩えで使われることの多い言葉ですが、サブロウ・アラサカにとっては文字どおりの「復活」。
サブロウの「死の超越」は言わずもがな、アラサカの盤石の体制が永遠に続くことを意味します。
そして、その鍵となる<神輿>は破壊されておらず――。
このあたりで「やっちまったか……」と思いはじめました、もう遅いのですが。
<神輿>はコンストラクト化して捕らえた魂を人質にして、アラサカの支配基盤を固めるシステム。
どこに存在するか分からず、それを破壊できるのはブラックウォールの向こう側のオルトのみ。
しかし、オルトは現実世界に興味がなく、接触の鍵となるジョニーは<Relic>に封じられていた。
そして、ヴードゥー・ボーイズだろうとネットウォッチだろうと、オルトを動かすことは不可能。
つまり、<神輿>が今後危うくなる要素はありません。
物理的に破壊、といってもアラサカ・タワーの地下にあるものは単なるアクセスポイントですから。
<Relic>は――話の中心となる試作品<Relic 2.0>は――精神を繋ぐための生体チップ。
あくまで試作段階であり、まだまだ実験途中であったものの、ヨリノブが強奪。
しかし、紆余曲折を経て<Relic>はVの身体と一体化。
Vが傭兵として過ごしている間、<Relic>はその「生きた」データを集めることになります。
そしてハナコの誘導により、<Relic>はVと共にアラサカの手の内に戻ってきた……データを携えて。
<神輿>は無事。
生きた人間による<Relic>の試験データは回収できた。
ジョニーが消滅したことにより、懸念事項となるオルトは出てこない。
「悪魔」はサブロウ・アラサカ完全勝利ルートです。
こうしてみると、ハナコが「ヨリノブが大事」と繰り返し言ってきたことも理解できます。
ヨリノブはサブロウの容れ物になる存在ですからね……。
「適合の問題」があるようなので、確率を上げるためには血縁者のほうが良いのでしょう。
何より脅威としてのヨリノブを排除することもできて、一石二鳥。
繰り返しになりますが……不憫だな、ヨリノブ。
全てが終わってハナコに縋り付いて泣いていたけれど、ハナコもサブロウ派だよ……。
視点を戻して、リハビリの日々は突然終わりを告げます。
ヘルマンの説明によると、要するに「身体がもう限界」だ、と。
「魂の救済」プログラムに参加して<神輿>へ、そして記憶痕跡を新たな肉体へ移植する、と。
罠であることは先刻承知。
何より記憶痕跡を移植してくれる保証もありませんから。
そこで受諾するか拒否するか選べるのですが……結末としては、まあ、同じですね。
今死ぬか、半年後に死ぬか、というところ。
アラサカのことを信じられるのならば生き延びるとも思えますが、アラサカですからね……。
スタッフロール中のメッセージは「太陽」とほぼ同じ。
「ほぼ」というのはまず、「太陽」では死亡するローグのものが追加されていることが違い。
そして「魂の救済」プログラムへの参加を断った場合、ハナコのものも追加。
前者はともかく、後者は驚きました。
能力を意外と高く評価されているようで、アラサカと仕事をしてみない? とさえ提案するという。
ここまで好意的なら、「魂の救済」プログラムで記憶痕跡を移植してくれる可能性も……?
――いや、アラサカでしたね。
しかし、「太陽」と同じ内容でも、今回は後ろ向きにしか考えられないとは……。
生きて帰るであろうと考えられるか、死ぬことが確定しているかの違いは大きすぎます。
「悪魔」に手を貸したこと自体が間違いか……!
2021/03/11
2077 愚者
※「サイバーパンク2077」のエンディングに関するネタバレを含みます
ある以上は見ないワケにもいかないだろう……という判断で、いわゆる「自殺」エンディングへ。
ヴィクターの診療所の屋上で話が終わるので、気軽といえば気軽。
しかし、内容的にはそう気軽ではないですね……文字どおり、ですから。
印象に残ったのは、Vが自殺することのメリット。
「誰も死なずに済む」、そして「2人とも最期まで自分でいられる」。
「太陽」、そしてその派生の「節制」を見ている身としては納得できるものです。
言わずもがなのローグ、「節制」で消滅するVとジョニーらしからぬジョニー。
アラサカ・タワーに突入すれば、数多くの人々が亡くなることにもなる。
誰かが死んで自分が生き延びて、それでいいのか? と。
「やるか……」とジョニーが呟いたことも重要だったように思います。
主導権を握っているのは既にVではなく、ジョニー。
そもそも、意識を失ったVの身体をヴィクターの診療所まで連れてきたのはジョニー。
疑似エンドトライジンを飲まなくても、ハンドルを握ることができてしまう状態なワケです。
そう考えると、抵抗しようと思えば抵抗できた。
しかし、そうせずにVの意思を尊重した――と。
冗談みたいな「ズッ友」も、彼にとっては冗談ではなかったのでしょう。
Vの死を受けたうえで、スタッフロール中のメッセージは様々。
現実をしっかり受け入れ、見ていてつらいヴィクター。
祈りを捧げるママ・ウェルズ。
悲嘆に暮れるジュディ。
揃ってブチ切れるパナムとケリー。
ただ、「揃って」とはいえ、「ブン殴る」と言い切るパナムと、ロミオとジュリエットに喩えるケリー。
同じようにキレていても、何となく「差」は見えてきて良いですね(?)。
そして、ミスティはVに――プレイヤーにも――語りかけるようなメッセージを。
一番心配だったリバーは意外にも冷静。
というのも、「最初の相棒が自殺した」という話が出てきまして……。
いわゆる「いい人間から死んでいく」という話です。
しょんぼりしていたことは確かなので、慰めてあげたいことも確かですが、それも当然できず。
こうして考えると、メッセージを送ってくれた皆は誰か大事な人を失っているような気がします。
ジャッキーを失ったママ・ウェルズ、ミスティ、ヴィクター。
エヴリンを失ったジュディ。
スコーピオンを失ったパナム。
ジョニーを失ったケリー。
相棒を失ったリバー。
「死」の多い街ではありますが、皆が悲しみを乗り越えてきたというのに、またVが――。
エンディングはキレイな終わり方だったと思います。
しかし、メッセージまで含めてみると……。
ケリーの吐き捨てた「陳腐」の一言が、心に深く突き刺さりますね。
2021/03/09
2077 節制
※「サイバーパンク2077」のエンディングに関するネタバレを含みます
「節制」、到達。
「ジョニー・シルヴァーハンドに自分の体を渡す」。
……どうしたってビターエンドという感じはします。
しかも、身体を渡されたジョニーは明らかに燃え尽きている状態。
以前のように、街を燃やし尽くすような気概は感じられません。
ただ、ジョニーとナイトシティのエピローグとしては良い雰囲気というか、良い作品というか。
目覚めて、ロッカー志望の少年とのやり取りがあって、慰霊堂へ行って、街を去る。
まるで西部劇のような幕引き。
その合間合間に挟まるのは、彼のロッカーとしての矜持。
音楽の話をしている間は彼も活き活きとしており、こういうところはやはりジョニーだな……と。
「太陽」からの派生なので、慰霊堂へ捧げるものはVのペンダントとローグの銃。
オルトを失い、ローグを失い、Vを失い、ジョニーは生きている。
きっと彼は二度とナイトシティには戻ってこない、そう思います。
正直、悪くはないエンディングだった……と考えていたものの、その気持ちはすぐに反転。
その原因は、スタッフロール中の皆からのメッセージ。
心を抉ったのは、やはり……リバー。
「太陽」の時は「最近会えていないが、甥の誕生日も近いから来てくれ」と言われたのです。
クリスタル・パレスへの潜入作戦の後なので、Vもいろいろと大変なのでしょう。
……まあ、何が起きたかは分かりませんが。
一方で、「節制」の今回は「どこをあたっても行方が分からない」と涙声で伝えており――。
それは、そうでしょう。
Vはもう……。
Vとジョニーの物語としては良くても、残された人々の気持ちを考えると良くはない、ですね……。
正直、その視点が欠けていました。
反省。
しかし、そのことを深く考えると、いわゆる「自殺」エンディングを見ることが怖くなってきます。
……見ていいものなのか?
2021/03/07
2077 太陽
※「サイバーパンク2077」のエンディングに関するネタバレを含みます
「サイバーパンク2077」、ひとまず完走。
「ひとまず」とわざわざ付けた理由は単純で、2周目に取り掛かるから、ですね。
さらに言えば、1周目で別のエンディングにも辿り着くつもりです。
エンバースに行ってから長丁場だったので、少々気合を入れる必要がありそうですが……。
今回のVのライフパスはノーマッド、女性。
私自身、「サイバーパンク」の知識が全くないことからそれに近い状況を、と。
辿り着いたエンディングは「太陽」、つまりジョニーの案にノった理由は……感傷的なもの。
正直に言えば、ザックリ下調べをした時は同じノーマッドであるパナムを頼る気でいました。
良くも悪くもノーマッド、夢の街から荒野に還るのも悪くはないだろう、妥当だ、と。
(あくまで「下調べ」であって細部は知らないので、そんな内容かどうかは知りませんが)
しかし、ジョニー絡みのサイドジョブを進めるにつれて、こう思ってしまったワケです。
「ジョニーとローグの物語を続けてあげたい」。
「夜想曲第15番 OP.55-1」の時点で、ローグは理由を伏せてジョニーと別れたまま。
ノーマッドを頼れば当然、ジョニーとローグはそれきりです。
「焼けつくような愛」というサイドジョブの名前とは逆に、明らかに不完全燃焼。
だからこそ、火をつけろ、と。
これはプレイヤーの都合ではありますが、Vの視点で言えば、勝てる確率の最も高い手。
V的にも悪い話ではないかな、という気持ちがあります。
……言い訳っぽいですね。
二人の結末はといえば、手元にローグの銃が遺っており……つまりはそういうもの。
やはり、Vとジョニーの物語に収束するか……!
短い時間ではあったものの、ローグには54年前を感じていてくれたら、と強く願います。
ちなみにジョニーの案、つまりローグの作戦はその私財・人脈をフル活用した恐ろしいもの。
大筋はシンプル。
AVでアラサカ・タワーに突っ込んで、敵を蹴散らしつつ<神輿>まで侵入、それだけです。
ただ、そのAVが爆撃機であったり、突入のサポートに人工衛星を破壊したりと、やることが派手。
もちろん用意された装備も一級品であり、何というか、負ける気がしない状態でした。
とはいえ、何事も予測不可能なことはあるもので――。
決戦では当然ジョニーの愛銃マロリアン・アームズ 3516を使ったものの、正直に言って、弱……。
手持ちのオーバーチュア CRASHに頼れば手早く終わったような、それではいけないような。
<神輿>に到達後は「向こう側」でVやオルトとのやり取り。
そこでの決断があって「太陽」に至っているのですが、少々複雑な気持ちは残りますね。
何せ「プレイヤー≒V」という構図の作品です。
それなのに<神輿>でプレイヤーがジョニーを操り、Vを助け、ジョニーを切る。
何か別のところ・別の条件で分岐してほしかったような……?
ちょっとだけモヤモヤします。
現実世界に帰ってきて待っていたのは……リバー。
寝返りをうってびっくりすることなんて人生でそうそうないでしょうが、私にとっては今回がソレ。
唯一、ロマンス(ベッドシーン)を経験した相手、リバー・ウォードその人がそこにいた、という。
ジョニーとの別れでしんみりしていた直後に恋人が来るとは思わないじゃん……!?
(V視点では<神輿>の直後ではないとはいえ、プレイヤー視点では直後)
いろいろなサイトでロマンスを推してくるな、と思っていたのですが、まさかこういうこととは。
オマケ的なものだと思っていたのですが、エンディングに絡んでくる要素だったのですね。
ジュディを選んでいたら、誰も選んでいなかったら、と少し考えてしまいます。
しかし、えらく豪勢な場所に住んでますね、V。
流石にケリーレベルとは言えませんが、少なくとも「サイコファン」以上の立派な家です。
ともあれ、リバーに見送られて向かうはアフターライフ。
みんなに「ボス」と呼ばれながら、ミスター・ブルーアイズに依頼を受けてクリスタル・パレスへ。
そして――スタッフロール、と。
このエンディング、個人的には納得のいくものでした。
「太陽」のトロフィー情報には「アフターライフのレジェンドになる」と書かれています。
つまり、レジェンドとしてナイトシティに名を残したのだな、当初の目標を成し遂げたのだな、と。
ただ、リバーに話したように、以前と同じくもうすぐ死ぬことに変わりはない。
<神輿>でも、既にVは身体の持ち主ではないとオルトに告げられています。
<Relic>に身体を変えられたことは確かで、ジョニーがいなくなっても長くはない。
だからこそ、最後の最後にレジェンドとしての仕事を――名を確たるものにするために。
……そう思っていたのに、「ミスター・ブルーアイズとは誰?」という話が突然出てきてですね。
エンディング中、彼はミリテクが寄越したプロキシだと思っていたのですよ。
<神輿>が破壊されて<Relic>の嘘が暴かれたことにより、アラサカの秩序は崩れ去った。
ミリテクが新しくその座に就くのならばこのタイミングだ、と。
クリスタル・パレスの顧客データもそのためだ、と。
しかし、このブログの記事を書くにあたって、表記を気にしていたところ事情は一変。
「『クリスタル・パレス』か『クリスタルパレス』か」と気にしている場合ではなくなりました。
変なことを気にして検索するもんじゃないですね……!
つまり、「ミリテクのプロキシ」という考え方は完全に的外れだったのです。
この点に関しては、AVの中で見られるヴィクターのメッセージでも触れられています。
依頼人は八方手を尽くして調べてもなお、正体不明である、と。
では、「ミスター・ブルーアイズとは誰?」ということになりますが、そのヒントはサイドジョブに。
ただの被害者だと思っていたら真っ黒なウラを見せたサンドラ・ドーセット。
完全に妄言だと思っていた預言者ギャリー。
その後が心配で仕方ないジェファーソン・ペラレス。
それらのバラバラの点が線で繋がり、先にいるのがそのミスター・ブルーアイズ。
その正体は暴走AIに乗っ取られた人間――という話が出てきました。
「全面開示」で登場する他者を操るプログラム。
「預言者の唄」での暗号めいたやり取り。
「覚めない夢」の脳や意識の改竄、Vへの警告、そして何より――ミスター・ブルーアイズ本人。
何でもアリのナイトシティのパーツだと思っていた、謎の要素がカッチリと噛み合う……という。
では暴走AI、ブラックウォールの向こう側の連中と取引する意味は?
それはきっと、V自身の延命でしょう。
言われてみれば、彼との会話で「Vなら生き延びる」という話をしているのですよ。
Vからも「そっちの約束を忘れないで」と釘を刺しており、何だか「先」があるような雰囲気です。
とはいえ、そこはあのオルトにさえ見放されたV。
当初、延命はあり得ないだろうな、と思っていたのですが……。
しかし、仮に全てがそうだとすれば、VはAI側の尖兵ということになるような?
そういえば「精神を再構築、コンストラクトとしてVの身体に定着」というオルトの話がありました。
Vとジョニーを分離する時にそれが行われていたとすれば、Vは既にAI寄りの存在……?
幕が上がるのは企業と企業の戦争ではなく、AIと人間の戦争。
ブラックウォールを越えた侵略者たちによる、社会の是正。
それもまた「サイバーパンク」なら、VはAIの体制に反発するのか? それとも人間の体制に?
考えてみると楽しくなってきますね……。
まあ、又聞きなので信憑性は保証しませんし、文責は負いませんよ、と最後にブン投げつつ。
現時点では謎の存在のミスター・ブルーアイズ。
今後の展開(DLC?)が気になりますね。
「エンディングで謎を増やすんじゃない」という本音はさておいて。
少し調べてみたところ、こうして大きな謎が残るエンディングはこの「太陽」だけのようです。
よりによってえらいエンディングから見たな……!