あらためて「Mouthwashing」を終わらせてきました。
ええ、「あらためて」。
以前1周しており、実績達成後は放置していたんですよね。
最後の実績になった「カーリー」(社員証入手)達成後、
つまりChapter 19からエンディングまでを一気に突っ走ってきました。
――最悪だな!!
気持ち悪さを一掃できたのはあくまでジミーだけ。
対するプレイヤーには最悪の読後感が残るというこの作りは良いですね。
自分のしでかしたことを反省するでもなく、全ては他責。
事の発端であるアーニャと向き合わず、最後には「靴下人形」にすがり、
希望を押し付けて「やれるだけやった」と気持ちよくなって自決する。
1周目こそ雰囲気に呑まれて良い話のように感じていたものの、
ちゃんと見つめ直した2周目の感想は上記のとおり。
私史上最悪の主人公だと思います、ジミー。
「やった」ことを振り返るならもっと前に振り返れよ……。
このコールドスリープに関してはカーリー生存派です。
「そのほうが作中を貫く『苦しみを祈る』に合致する」が主な理由ですが、
「そのほうがジミーを嫌いになれる」という理由もありますね。
あくまで「嫌い」なんです。
「興味がない」ワケではない。
「『苦しみを祈る』のは誰?」という問題もジミーだと思っています。
ジミーからカーリーへの愛憎はあらためて言うまでもないでしょう。
冒頭のソレは衝突当日なので、カーリーへの感情が極まった頃。
死ぬ気でしょうから、「生きていれば」が付くとは思いますが……。
ついでに、「たすけて」とすがる最終盤においても、
ジミーのカーリーへの愛憎は変わっていない気がします。
「いつかアイツは俺に感謝する」は「愛」だけではないと思うんですよね。
極端な話、アーニャもスウォンジーもダイスケも「ある」んですから。
愛しているから食べさせる。
憎んでいるから斬りつける。
ジミーとカーリーの物語として見るのが一番まとまりがあるかな、と。
唯一、自罰的に思えるポレムカデの「苦しみを祈る」だけが救い。
対になる主人公、カーリーは……立派でマジメ。
しかし、あくまで「普通」の船長、という印象。
個人的に記憶に残ったのがコレ。
いろいろあった日なので贅沢も許されそうなものですが、このマジメさ。
弾けてほしいプレイヤーとしてはガッカリです。
口癖のように繰り返す「何とかする」もマジメな印象を強めていくばかり。
他のクルーの頼み事・困り事も「何とか」してきたように思え、
おそらく船長としては優秀だったのでしょう。
そして、そんな一面にジミーはヒーロー性を見て愛憎を募らせた。
……が、その一方で「何とかする」が表面だけのようにも見えるのです。
実際、アーニャの件には最低限の対処すらせず、「何とかする」のまま。
相手が相手、さらに被害者であるアーニャ自身の問題もあるのでしょうが、
「何とかする」の言葉だけで終わっているように見えます。
長い航海、被害は複数回でしょうし、どこかで止められていれば……。
火種のジミーが悪いと言われればそれまで。
衝突に至る大きな原因のアーニャは……何と言えばいいのやら。
資格なき船医であることは明白で、
そんな彼女を研修だけで送り出したポニー運送が悪いことは確か。
しかし、彼女の存在こそが事態を悪くしたと思えてしまう……。
強い言葉を使えば「船に乗るべきではなかった」存在。
被害者ですし、悪いことはしていない――するべきこともしていない――のに、
邪険に扱うのは良くないのですが、どうにも印象は良くありません。
試験に落ち続けて金欠、試験に落ちているのに船医……ねえ?
「船医」に据えたポニー運送が悪い、とは思っていますよ、本当に。
人手不足なのでしょう。
実際、経営が「カツカツ」を通り越していることは解っていますし……。
ただ、彼女を「船医」として見るのならば、
その最期に対して心の底から軽蔑していることは確かです。
一方、「人間」として見るのならば、精一杯の復讐だったことも解る。
本当に、何と言えばいいのやら。
適正のなかったアーニャはさておき、
船の技師であるスウォンジーは嫌いになることが難しいほど。
子供を育てれば何かを成し遂げた気持ちになれるか、といえばそうでもない。
対して呑んだくれていた日々を「最高」――空のビンを除けば――と言い切る。
弱い自分を真っ直ぐ見つめ、それこそが自分だと受け入れる。
……こうありたいものだな、と。
自堕落でありたいという意味ではないんですよ。
私自身、自己否定するきらいがあるので、
ここまで強く「自分」をもてることに憧れがあるのです。
「善」であろうとしながら「清く正しく」を蹴り飛ばせる彼が羨ましい。
スウォンジーはそれだけでなく、大人としての決断力もある。
衝突後の作業室を見て、おそらく深く悩んだと思うのですよ。
1基だけ残った冷凍ポッド。
当然、混乱の種になることは予想できます。
だからこそ作業室を封鎖し、徹底して誰も近付けず、沈黙を守る。
そのうえで誰が入るかは考えていて――。
で、ダイスケの件ですからね……。
そのダイスケは癒やし枠。
インターンシップで入ってきた若者で、何も考えていない……。
かと思いきや、本人なりに考え抜き、それなりに頭も回る。
他者を思いやる気持ち、誰かの役に立ちたい気持ちが強く、
ムードメーカーとして明るく振る舞うこともある。
……どうにもこうにも悪い要素が見当たりません。
アホの子であることは確かとはいえ、他のクルーと比べれば、ね……。
幸いにも指導役のスウォンジーがストッパーになっていたこともあります。
そう、ちゃんと指導していたんですよ、スウォンジーは……!
この師弟だけ別の世界に転移させられませんか?
流れで触れることになりましたが、クルー5人の評価はそういったところ。
で、最後に「Mouthwashing」の評価ですが。
「極悪で極大なトゲを残した奇作」ですかね……。
もちろん、褒めています。
褒めているものの、「責任」の意味や働くことの意味、
そういった直視したくないことをまざまざと見せつけられる作品に感じました。
念のため言っておきますが、この作品の中で最大の「悪」はポニー運送です。
5人は極端にブラックな労働環境の被害者。
しかし、そこで働くことを選んだのも5人なワケで……。
それこそ、スーツを仕立てて、ネクタイを締めて。
生活のために。
生きていくために。
そして、飛び込んでしまった地獄で大なり小なり押し付けられる「責任」。
抜け出そうにも、抜け出せはしない。
その抜け出せない地獄の中で地獄が重なり、
どうにもこうにもならなくなって、破滅へと向かっていく。
地獄の濃淡はあるでしょうが、「自分はこうならない」と断言はできません。
私の仕事は「惑星間運送業」という壮大なものではないので、
このシチュエーションそのものに陥ることはないでしょう。
ただ、押し付けられたり、自ら背負った「責任」によって、
全てが崩壊する可能性はいくらでもある、と考えずにはいられません。
自分の犯した失敗とはちゃんと向き合おうね!
相手が誰であれ、指摘するべき問題は指摘しようね!
任された仕事はちゃんとしようね!
ひねくれた態度はできるだけ避けようね!
……言われたことは、最後まで守ってほしかった。
この作品には社会で生きていくうえで大切なことと、
夕暮れのような憂鬱が詰まっている――。
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