※以下、「劇映画 孤独のグルメ」のネタバレを含みます
「ついで」というのも何ですが、先週……いや、
10日前に観た「劇映画 孤独のグルメ」の感想も書いてしまいましょう、と。
正直に言えば、面白かったことは確か。
「いっちゃん汁」を核にした繋がりこそやや強引なものの、
ラーメン屋周りは本当に良かったなー、と。
店主の再起に輸入雑貨商としての「井之頭五郎」が絡み、
彼でなければできない物語が紡がれていた点は高く評価できます。
ドラマ「孤独のグルメ」の裏側を何となく見られる作りも面白い。
「ナナナです」は思いっきり笑いました。
で、そういう言い方をしているということは、文句ももちろんあるワケで。
言いたいことはシンプルです。
「孤独のグルメ」かなあ、コレ!?
パリから五島列島までは確実に「孤独のグルメ」。
大体いつもどおりで、安心して見られる作りになっています。
良くも悪くもいつもの味。
ですが、スタンドアップパドルで出航してから風向きが怪しくなってきます。
奇しくも劇中でも、ではありますが。
スタンドアップパドルで隣の島に向かう――まではギリギリ許容範囲。
なんとその日は台風が接近中でした!――調べるだろう!! それは流石に!!
脚のロックを確認せずにバンジージャンプするようなものですよ!?
食材がかかっている……ではなくて、単純に命がかかっているのですから。
漂着先で自作鍋を作った件も同じ。
案の定――の展開に笑いこそしましたが、キノコは危ないだろ!?
……何故か五郎さんの危機管理意識がゆるゆるなんですよね。
パリ~五島列島、食品研究施設~東京の展開はだいぶ落ち着いているだけに、
このあたりだけが本当におかしい。
資金の問題で脚本を変えた、という話がパンフレットに載っていましたが、
その影響なのか……? と勘繰ってしまいます。
ムチャクチャな展開は五島列島~食品研究施設で終わるものの、
「孤独のグルメ」かどうか、に疑問符がつく展開はそれ以降も続きます。
まずは食品研究施設での食事がそう。
良いシーンなんですよ。
漂着した五郎さんに振る舞われる、食品研究施設で作られた料理。
それを食べて、彼女たちに笑顔を返し、完食する。
良いシーンなんですよ。
――「孤独」かなあ!?
辞書で「孤独」を調べたくなるほどのキャッチボールっぷりです。
入国審査官のツッコミを受けながら食べる、港町での一幕もそう。
面白み溢れるシーンではある一方、「孤独」からは距離がある。
原作の「誰にも邪魔されず……」の精神はないんですよね。
何よりラストのラーメンを並んで食べるシーン。
オマージュ元があることは百も承知ではあるものの、
「孤独」? という気持ちは残ってしまいます。
繰り返しになりますが、面白かったことは確かなのですよ。
ただ、「孤独のグルメ」かどうかは怪しい。
少なくとも原作版「孤独のグルメ」ではあり得ない展開だな、と。
ドラマ版ならあり得る距離感ですし、そもそもベースにあるのはドラマ版。
何より監督を松重豊さんが務めている以上、そこに文句はつけられません。
それに、観ている間は笑いましたし、感動もしました。
二人を繋げるでもなく、
そっと伝えるだけに留めるラストはジーンとくるものがありましたから。
それだけに、どうにもこうにも五島列島~食品研究施設がッ……!
喉に小骨が引っかかっていると、
その印象ばかり強くなって美味しいものも美味しく食べられないものですね。
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